編むこと

羊毛の手紡ぎを始めたのはいいけれど、実は編み物が出来ませんでした。

棒針は、編み図を見ると尻込みしてしまって「きっと一生編み物はできないんだろうな」と思っていました。でも紡いだ毛糸はどんどん出来てきます。

織り機で織ろうと思っていましたが、先生が「まずは編んでみると自分の紡いだ糸のことが分かるから、なんでもいいから編んでみて」とおっしゃったので、一念発起して編み物を始めてみました。

図書館で分かりやすい編み方が載っている本を色々借りてきて、少しずつ始めました。編んではほどいて(最初の作り目さえなかなか覚えられず)を繰り返し、ようやく簡単な表編み、裏編み、そしてそれを使ったガーター編みとかのこ編みが出来るように。

私にとっては奇跡にも近く、やろうと思えば出来るんだという気持ちと、こんな楽しいことを今まで知らなかったなんて!という後悔と。

 

何かを作り上げるより、今は編むこと自体が楽しく、仕事を終えて夕食の準備をするまでのちょっとした時間などに毎日手を動かしています。

慌ただしい出来事のあった日でも、編み始めると自分だけの静かな時間に戻れます。

赤い毛糸は、赤の羊毛に少量の焦げ茶の羊毛をカーダーで鋤き込んで紡いだもの。子どものベストを作る予定。直線しかまだ編めないので、毛糸の下に置いてある長方形の布をはぎ合わせて作ってある「えみおわす」の服を参考に作ろうと思っています。白の毛糸は袋いっぱいに毛糸が3袋もごみで出されていたのを拾ったもの。編み物を始めようと決心した時期に拾って、「何事もやろうと決心すると天の助けがあるものなんだな」と秘かに感激したのを覚えています。